COLUMN
青森市の空き家バンクとは|登録・利用の流れと確認したい注意点
青森市の空き家バンク(正式名称は「青森市空き家・空き地バンク」)は、市内の空き家や空き地を売りたい・貸したい所有者から申込みを受けた物件情報を、国の「全国版空き家・空き地バンク」のサイトなどで公開し、買いたい・借りたい人との取引につなげる制度です。青森市が行うのは物件の募集と情報提供で、物件の調査と取引の仲介は、市に登録された宅地建物取引業者が行います。市は交渉や契約には関与しません。市のパンフレットでは、バンクへの情報登録・利用は無料とされていますが、契約が成立したときは宅地建物取引業法に定める仲介手数料がかかります。所有者は、登録の前に名義と相続登記、共有者や相続人の同意、残置物の扱い、冬の間の管理を整理しておくと進めやすくなります。また、すでに不動産会社と媒介契約を結んでいる物件は登録できない点にも注意が必要です。ここでは、青森市の公式ページと要綱に書かれている範囲で、制度の仕組みと流れ、確認したい注意点を順番に整理します。
1. 空き家バンクとは
空き家バンクは、自治体が空き家や空き地の情報を集めて公開し、使いたい人とつなぐための仕組みです。青森市の要綱では、空き家・空き地の利活用を進めるとともに、放置されて管理が行き届かなくなる空き家・空き地の発生を抑えることが目的とされています。
青森市の空き家・空き地バンクでは、物件の募集や情報提供を市が行い、申込みがあった物件の調査と、取引の仲介を登録事業者が行います。登録事業者は、公益社団法人青森県宅地建物取引業協会と公益社団法人全日本不動産協会青森県本部に所属する会員のうち、この制度に協力する事業者として市が登録した宅地建物取引業者です。市はこの2団体と「青森市空き家等の利活用に関するパートナーシップ協定」を結んでいます。
市の案内では、所有者と利用希望者の間の売買・賃貸借の交渉や契約に市は一切関与せず、契約に関する疑義や紛争は当事者と登録事業者の間で解決することとされています。市のパンフレットには、バンクに登録した物件を市が管理や補修することはない、とも書かれています。
国土交通省によると、「全国版空き家・空き地バンク」は、各自治体が提供する空き家等の情報を、自治体をまたいで検索できるようにしたサイトです。公募で選ばれた株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が運営しており、国は構築費用の一部を補助していますが、運営を委託しているわけではないと説明しています。青森市の物件情報は、市のページからアットホームの全国版空き家・空き地バンクの青森市のページで見られるようになっています。
2. 青森市空き家・空き地バンクの概要
窓口は、青森市都市整備部住宅政策課と、浪岡庁舎にある浪岡振興部都市整備課です。登録できる物件と、利用できる人の要件は次のとおりです。
登録できる空き家は、個人が住むために建てたもので、市内にあり、いま人が住んでいない建物(近く住まなくなる予定のものを含みます)です。所有者が事業として賃貸や分譲に使っている建物は対象外です。空き地は、個人が所有する市内の土地で、法令上住宅を建てられる土地のうち、建物がないものが対象です(不動産業を営む者が所有する土地は除かれます)。
物件の利用を申し込めるのは、青森市暴力団排除条例に定める暴力団・暴力団員やこれらと密接な関係などを持つ者でなく、空き家・空き地の転売や転貸を目的としない人です。要綱では、物件を登録する所有者等にも同じ要件が定められています。
- 登録の時点で、宅地建物取引業者と媒介契約を結んでいないこと
- 建物・土地の所有者全員の承諾が得られていること
- 所有権以外の権利(抵当権など)が設定されている場合は、その権利者の承諾が得られていること
- 申込みには「青森市空き家等台帳登録申込書兼誓約書(様式第1号)」と「青森市空き家等物件台帳登録書(様式第2号)」に必要書類を添えて提出する
- 要綱では、老朽化が著しく改修しても住めないと認められる空き家などは登録されないとされている
3. 所有者が登録する前に確認しておきたいこと
まず、登記上の名義人が誰になっているかを確認します。登録には所有者全員の承諾が必要なため、亡くなった親の名義のままになっている家は、相続人が誰で、誰が引き継ぐのかを先に整理しておく必要があります。法務省によると、令和6年4月1日から、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務になっています。相続登記の進め方や期限の詳細は、既存の記事「青森で空き家を相続したら最初にすること」で整理しています。
次に、共有者や相続人の間で、売るのか貸すのか、条件をどうするのかについて意向をそろえておきます。登録の申込みは所有者全員の承諾が前提になるため、途中で意見が分かれると手続きが止まりやすくなります。
家具や家財などの残置物を、片付けてから引き渡すのか、そのままの状態で引き渡す条件にするのかも決めておきたい点です。市は登録物件の管理や補修を行わないため、残置物や建物の状態の説明は、所有者と登録事業者の間で詰めることになります。
青森では、冬の間に建物の状態が大きく変わることがあります。屋根や雨どい、給排水の状態を確認し、空き家のまま冬を越す場合は、水道管の凍結による破損や屋根からの落雪で周りに迷惑をかけないよう、誰がいつ見回るのかを決めておきます。具体的な管理の方法は、既存の記事「青森の家を雪から守る管理ポイント」をご覧ください。
4. 買う・借りる人が確認しておきたいこと
空き家バンクに登録される空き家は、いま人が住んでいない建物です。現地を見るときは、雪のない時期だけでなく、積雪期の様子も想定して確認します。冬に内見できる場合は、敷地から道路までの除雪の動線、屋根からの落雪がどこに落ちるか、車を置くスペースを確保できるかを見ておきましょう。前面の道路が冬にどの程度除雪されるのかも、暮らしやすさに関わります。
建物の状態は、建物状況調査(インスペクション)を利用して確かめる方法があります。国土交通省は、既存住宅の売買時点の状態を把握する方法として建物状況調査の活用を進めており、宅地建物取引業法でいう建物状況調査は、国の登録を受けた講習を修了した建築士が、国の定めた基準に従って行う調査です。青森市の空き家バンクでは取引の仲介を登録事業者が行うため、調査を希望する場合は担当の登録事業者に相談します。
中古住宅の購入前に確認したい書類や保険、冬の調査の注意点は、既存の記事「青森で中古一戸建てを購入する前に確認したいポイント」で詳しく整理しています。
5. 空き家バンク以外の方法との比べ方
青森市の案内では、空き家・空き地バンクは、この制度以外による取引を妨げるものではないとされています。所有者にとっては、空き家バンクのほかに、不動産会社に直接売却や賃貸の仲介を依頼する、自分で賃貸に出す、建物を解体して土地として活用・売却する、といった方法があります。
比べるときは、いつまでに手放したいか(時間)、それまでの見回りや雪の対応を続けられるか(管理の負担)、修繕・解体・仲介手数料などの費用をどう考えるか、の3つを軸にすると整理しやすくなります。なお、青森市の空き家バンクは登録の時点で宅地建物取引業者と媒介契約を結んでいないことが条件のため、先に不動産会社へ仲介を依頼するか、空き家バンクに登録するかで手順が変わります。
相続した実家を売る場合は、税金の扱いも比べる材料になります。国税庁によると、相続または遺贈で取得した被相続人の住まいだった家屋やその敷地を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売り、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例があります(令和6年1月1日以後の譲渡で、取得した相続人が3人以上の場合は2,000万円まで)。主な要件は次のとおりです。賃貸に出したり、自分で住んだりすると要件を満たさなくなる点は、貸すか売るかを考えるときの判断材料になります。適用できるかどうかは、税務署や税理士に確認してください。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前に被相続人が住んでおり、被相続人以外に住んでいた人がいなかったこと(老人ホーム等への入所など一定の場合を除く)
- 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に使われていないこと
- 家屋を売る場合は一定の耐震基準を満たすこと、または家屋を取り壊したうえで敷地を売ること(令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡の翌年2月15日までに耐震基準を満たすか取り壊した場合も対象)
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類を添えて確定申告をすること
6. 登録・利用の流れ
青森市の公式ページに書かれている流れは次のとおりです。物件を登録したい所有者は、申込書類を担当課へ提出します。その後、担当の登録事業者が現地調査を行い、市が申請書類と調査結果を確認して、要件を満たしていれば空き家等登録台帳に登録します。登録された物件情報は全国版空き家・空き地バンクのサイトで公開され、所有者の住所・氏名・連絡先は公開されません。利用の希望があると担当事業者から所有者へ連絡があり、担当事業者の仲介で交渉・契約を進めます。
買いたい・借りたい人は、「青森市空き家等物件案内及び利用申込書兼誓約書(様式第8号)」を担当課へ提出します。市が書類を確認したあと、担当の登録事業者が案内され、その事業者の仲介で交渉・契約を行います。
要綱では、登録した所有者と登録事業者は、登録物件について直接売買契約や賃貸借契約をすることはできないとされています。また、売買や賃貸借の契約が成立したときや、所有者から抹消の申請があったときは、登録が抹消されます。登録内容を変えたいときや登録をやめたいときは、担当課に相談します。
- 所有者:相談 → 登録申請(様式第1号・第2号と必要書類)→ 登録事業者による現地調査 → 市の確認と台帳への登録 → 全国版空き家・空き地バンクで公開 → 担当事業者の仲介で交渉・契約
- 利用者:物件を探す → 利用申込み(様式第8号)→ 市から担当事業者の案内 → 担当事業者の仲介で交渉・契約
迷ったときは、まず相談を
空き家バンクに登録するか、不動産会社に直接依頼するか、貸すか売るかは、名義や家族の意向、冬の管理の負担、税金の扱いによって変わります。ココカラ不動産は青森市を拠点に、不動産の売却・賃貸のご相談を承っています。どの方法が合うか決めかねている段階でも、お気軽にご相談ください。
チェックリスト
- 登記事項証明書で、建物と土地の名義人を確認した(相続登記が済んでいるかを含む)
- 共有者・相続人の全員から、登録と売る・貸すの方針について承諾を得た
- 抵当権など所有権以外の権利があるかを確認し、ある場合は権利者の承諾の見通しを立てた
- 不動産会社とすでに媒介契約を結んでいないかを確認した
- 家具・家財などの残置物を、片付けるのかそのまま引き渡すのかを決めた
- 冬の間の見回り、屋根の雪、水道管の凍結への対応を誰が行うかを決めた
- 申込書(様式第1号・第2号、利用者は様式第8号)と必要書類を確認した
- 市へ問い合わせる事項(必要書類の詳細、登録までの期間など)を書き出した
よくあるご質問
空き家バンクへの登録や利用に費用はかかりますか。
青森市のパンフレットでは、バンクへの情報登録・利用は無料とされています。ただし、売買や賃貸借の契約が成立したときは、宅地建物取引業法に定める仲介手数料がかかります。
市外に住んでいても登録・利用できますか。
青森市の公式ページに載っている登録の要件・利用者の要件には、住んでいる場所に関する定めは書かれていません。個別の事情でどうなるかは、市の窓口(住宅政策課または浪岡振興部都市整備課)で確認してください。
不動産会社に売却を頼んでいる家も登録できますか。
青森市の案内では、登録の時点で宅地建物取引業者と媒介契約を結んでいないことが登録できる物件の要件になっています。すでに媒介契約を結んでいる場合の扱いは、市の窓口で確認してください。
古くて傷んでいる空き家でも登録できますか。
青森市の要綱では、老朽化が著しく、改修しても住めないと認められる空き家などは登録しないとされています。登録の申込み後に登録事業者が現地調査を行い、市が調査結果を確認して登録するかどうかを判断します。
市が売買や賃貸の契約をしてくれるのですか。
いいえ。青森市は物件の募集と情報提供を行い、物件調査と取引の仲介は市に登録された宅地建物取引業者が行います。市は交渉や契約には関与せず、契約に関する疑義や紛争は当事者と登録事業者の間で解決することとされています。
参考情報
- 青森市空き家・空き地バンク(青森市、2026/10/29 閲覧)
- 青森市空き家・空き地バンク制度実施要綱(青森市、2026/10/29 閲覧)
- 「青森市空き家・空き地バンク」のご案内(制度周知パンフレット)(青森市、2026/10/29 閲覧)
- 空き家・空き地バンク総合情報ページ(国土交通省、2026/10/29 閲覧)
- インスペクション(既存住宅の点検・調査)(国土交通省、2026/10/29 閲覧)
- 相続登記の申請義務化に関するQ&A(法務省、2026/10/29 閲覧)
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁、2026/10/29 閲覧)
PROPERTIES
関連する物件を探す
CONTACT
この記事の内容について相談する
状況はお一人おひとり異なります。青森の不動産のことなら、まずはお気軽にココカラ不動産へご相談ください。
